12月20日(2010年最後)のmath@sapporoで進んだところのまとめ.
今回はp13の上段まで.
巡回群とはなんだろう
テキストでは巡回群の定義にGが集合であるか群であるかが述べられていないが,一般的に巡回群は群に対して定義される(と思う),テキストでも群として扱っているので上記のようにした.
いつも名が体を表しているとは限らないので注意.
- 位数
- 群Gの元の個数のことを群Gの位数(order)といい,|G|と書く.
例:
正n角形の平面内のシンメトリー群(ただしAは360゜/nの回転)は位数nの巡回群である.
となり,巡回して単位元Iに戻ってくる.また,である.
位数が有限の群を有限群(finite group)という.
巡回群が常に有限群とは限らない.
例:
は乗法群の部分集合であり,元の個数は有限ではない.
また,と同じ演算で群となり(単位元は1,に対する逆元は),一つの元の冪で全ての元を書けるので巡回群である.
しかし,0以外の任意のi についてなので巡回して1に戻ってくることはない.(名が体を表しているとは限らない)
のように,ある群Gの部分集合HがGの演算でまた群となるとき,HをGの部分群(subgroup)という.はの部分群である.
とする.
は乗法群の位数4の部分群であり,より,全ての元がi の冪で書けるので巡回群である.
また,とおくとより,は位数3のの巡回部分群である.
一般にの解を1のn乗根といい,と書ける.
これらは全部でn個あり群を成す.すなわち,
はの位数nの巡回部分群となる.(証明は問1.6でやる)
正n角形の平面内のシンメトリー全体は位数nの巡回群であり,また1のn乗根全体も位数nの巡回群である.
これらは集合としては異なるが,群として同じ構造を持っており,互いに同型であるという.(同型の定義はp18で.次回(1/10)あたりかな)
シンメトリーの積の表記法についての注意
シンメトリーを文字の置き換えと思ったときに,2つ以上のシンメトリーを続けて行うときはその順番が問題になる.
例えば,正n角形の各頂点に1〜nと文字を対応させ,x, yをシンメトリーとする.
ここでxとyの合成を考えた時,一般的にxとyのどちらを先に作用させるかで最終的な行き先が変わってしまう.
そこで,ある文字i をxでn個の文字のどれかに写し,その後にyでさらに別の文字に写すことを考える.この操作をと書くことにする.
i がxで他の頂点に移る操作をの代わりにと書くとはと書くことになり,xの前にyを書くことを気持ち悪がる人もいるようなので,テキストではを採用している.